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ルミさんインタビュー【第2話/ニュージーランドと日本の出産事情の違い】

オークランド在住の妊婦さんや育児をしているママさんのほとんどの方は、「ルミさん」をご存知ではないでしょうか?
私たちの心強い味方、頼れる存在のルミさんへのインタビュー第2回は、ニュージーランドと日本での出産事情の違いについて教えていただきました。これからニュージーランドで出産される方、必読です!

ルミさんインタビュー 第2話

ニュージーランドと日本の出産事情の違いは何ですか?

ニュージーランドでは、妊娠すると、担当助産師(ミッドワイフ)が必ず最初に、「あなたは、どのようなお産をしたいですか?」と妊婦へ尋ねてくれます。

病院で出産希望でしたら、麻酔科医が必要なため、無痛分娩もわりと容易に導入することができます。もちろん、水中出産などの選択もあります。自宅希望であれば自宅分娩もできます。

しかし、担当助産師によって異なります。
たとえば、「私はオークランド病院の出産しか担当しないので、それ以外での出産希望でしたら助産師は他の方にお願いします。」という方もいます。

どこで産みたいのか?誰にそばにいて欲しいのか?そして、自然分娩なのか無痛分娩なのか?など、産む人のやりたいように、きちんと希望を聞いてくれます。

日本との違いの一つは、もちろん病院にもよりますが、基本的にそこまで出産の希望を妊婦に聞いてくれることはないと思います。

ニュージーランドで出産する妊婦は、出産時のイメージをして、ほとんどの場合、そのイメージ通りの出産ができます。

もちろん、体調や担当の助産師のアドバイスもあるので、残念ながらできないこともありますが、まず「どのような出産を望みますか?」と必ず聞いてくれるのが、ニュージーランドの出産のやり方です。

そして、出産時は、LMC(Lead Maternity Carer)と呼ばれる助産師が立ち会わないといけません。逆に医師が立ち会う必要は全くありません。家族全員で立ち会ってもいいですし、他人でもいいです。もちろん私でも通訳として立ち会うことが出来ますし、緊急帝王切開などになる場合は、特別許可でオペ室にも入室許可されます。通常であれば、家族しかオペ室には入れません。先月はバースケアでの水中出産、先週はオークランド病院での出産に立ち会ったばかりです。

ルミさんインタビュー 第2話 2

日本と比べると、ニュージーランドは妊娠時期に受けるエコー検査が少ないことをどう感じていますか?

ニュージーランドでは、妊婦時期のエコー検査は全部で2回です。
1回目は、初期に赤ちゃんの心拍確認のため。2回目は20週頃に外表奇形、染色体異常の可能性がないか調べるためです。それ以降は、異常が疑われる場合や、妊婦の強い希望がない限り、エコー検査は受けません。

赤ちゃんの影響に悪いということはないですが、私は2回で充分だと思いますし、何度も検査をする必要はないものだと感じています。ただ、気になる方や高齢者の方は相談に乗ってくれますので、2回以上受けることも可能です。

日本では出産時、浣腸をしたり、剃毛したりすると思うのですが、ニュージーランドでは何も行われません。本当に大丈夫ですか?

大丈夫です!

日本は、何でもやりすぎて、キレイにしすぎるから免疫がつかないのかもしれません。

特に新生児は、お母さんの免疫がついているから病気にはなりませんし、たとえ浣腸をしていても、実際お産の時には大便が出ることも多いのです。

ニュージーランドでは、出産は自然なことで、特に手を入れることはないという考え方です。

もちろん、これもどうしても必要だからしてほしい!という方は相談にのってくれますし、絶対ということではないので、助産師と相談しながら決めていけばよいでしょう。

丈夫な子どもを育てたいなら、菌にも慣れていかないといけません。

助産師の役割について教えてください。

まず、日本で助産師になるには、看護師の資格がないと助産師の免許が取れないのですが、ニュージーランドは、看護師と助産師はそれぞれの資格なので、別々の免許になります。

そのため、ニュージーランドで助産師(ミッドワイフ)になりたい方は、助産師の資格だけでできることになります。

そして、日本との大きな違いは医師が居なくても、赤ちゃんの取り上げから最後の縫合まですべて一人でできることです。また、処方箋も書くことが出来ます。たとえば、妊娠中に不足がちな鉄分補給が必要であれば、その場で処方箋を書いてくれるので、すぐに薬局に買いに行くことができます。ニュージーランドはミッドワイフの力がとても大きく、また妊婦の心のよりどころにもなります。

私が開催しているお産教室でお伝えしていることは、ニュージーランドでお産ができることはとても素晴らしいことだということです。「お産の主人公は産婦なのです!」

また、ニュージーランドはお産の先進国と言われているので、世界各国から助産師や産科医師がよく研修にも来ています。私も実際、日本からの研修に来られた方々の同行通訳をしたことが何度かあります。

そして、ミッドワイフを選ぶ時は、日本人に慣れている親日家の方をお勧めします。それは、日本人の体型やサイズにも慣れていますし、日本人特有のお産のことや出産、育児事情などもあるので、不安定な妊婦時期には、より心の支えになってくれると思うからです。

(第3話へつづく)

ルミさんは、日本での看護師と助産師の資格を持ち、豊富な知識と経験がありますので、通訳はもちろん、親日家の助産師の方の紹介もしてくれます。

異国で妊娠・出産と一番不安な時期に、ルミさんがいてくれると心強く、安心できるのは、こうした過去の経験や知識からなんですね。

インタビューをしながら、産婦と妊婦の言い方の違いであったり、日本とニュージーランドでは同じ助産師でも役割がかなり違うということであったり、さすがプロ!と思うことがたくさんあり、ニュージーランドの出産の良さを改めて知ることができました。

もちろん日本での出産には日本のいい部分もたくさんありますが、ニュージーランドの「産婦が主役!」という考え方はとても素晴らしいと感じました。

次回は、「妊婦生活で気を付けること、出産時に必要なものやアドバイス」を教えてくれました。具体的に答えてくださっていますので、ぜひお楽しみにしていてください。

聞き手/Takako(こどもニュージーランド)