こどもニュージーランド 親子留学プログラム

ルミさんインタビュー【第3話/出産という人生の大イベントにおいて、少しでもお役に立てることは、私にとって何事にも代えがたい喜びなんです。】

ルミさんインタビュー第3話。今回は、日本と少し違う妊婦生活で気を付けないといけない事や出産・育児でのアドバイスを伺いました。なぜ、日本では良いのにニュージーランドではダメなのか?など素朴な疑問にも答えてくれています。

ルミさんインタビュー 第3話

日本と違って、妊婦生活で気をつけないといけない事はありますか?

日本では妊婦でもお寿司や刺身は食べてもいいのですが、ニュージーランドでは、食べてはいけません。

それは、日本の食品衛生基準がほかの国よりも厳しく設定されているため、菌などの付着が少なく、食中毒の可能性が低いからです。

ニュージーランドは、日本と比べるとその基準が低いので、生ものは避けないといけません。

具体的にお話すると、生魚や生の魚介類には、食中毒を引き起こすリステリアいう細菌が生息していることがあります。

普段であれば食べて大丈夫なものでも、妊娠中は免疫力が低下していることから、食中毒にかかるリスクが高くなってしまいます。

食中毒になった場合、妊婦さんが飲める薬は限られてしまうのも難点の一つですが、嘔吐や下痢によって早産や流産の原因になる可能性もあります。

そのため、美味しいお寿司や刺身でも妊娠中は控え、出産してから食べましょう。

また、コーヒーやアルコールも控えることをお勧めしますが、控えることでストレスをためてしまうなら、少しは飲んでも大丈夫です。

妊婦時の体重増加での注意点はありますか?

ニュージーランドでは、日本と比べて体重増加はあまり問題とされません。
ミッドワイフからは、10㎏超えても大丈夫と言われますが、それは本人の管理問題だと思います。
しかし、体重増加しすぎることによって、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児分娩などのリスクもあがってきます。

また、母体につく脂肪も増加しますので、そうなると産道(赤ちゃんが通ってくる道)や膣内、大腿に余分なお肉がつき、産道を狭めることにより難産に直結することにもなりますので、やはり気をつけた方がいいでしょう。

ルミさんインタビュー 第3話

出産時に必要なもの

陣痛が始まり、ミッドワイフの指示のもと希望するお産に入りますが、その時に使うリラックスするものを持参すると良いでしょう。

たとえば、テニスボールで腰などに当てて揉んでもらうと少し腰痛が和らぎますし、いつも使っているアロマや音楽など何を持ってきても大丈夫です。

ミッドワイフにもよりますが、「プッシュ!プッシュ!」という言葉がけくらいしか言わない方もいらっしゃいます。

そうした中、英語しか話さない医療従事者に囲まれ、病院という慣れない環境、そのもとでの一大イベントをこなすのは、かなりのストレスがあるのではないかと想像します。

ですので、私も出産立ち合いのお手伝いをさせていただいています。

私が一番心がけていることは、「産婦さんにどのように説明すれば、より良いお産に導くことが出来るか」ということです。

日本語での説明は耳に入りやすく、もっとも理解しやすいと思うのです。

“出産”という人生の大イベントにおいて、少しでもお役に立てることは、私にとっても何事にも代えがたい喜びなんです。

出産後に必要なもの・アドバイスはありますか?

出産後は、基本的に妊婦さんが必要とするものはすべて置いてくれています。たとえば、赤ちゃん類のベッドやおくるみ、オムツなどです。

そして、腹帯やトコちゃんベルトなどの使用をおススメします。ニュージーランドでは、産後の引き締めなどの指導もありませんので、産後の骨盤のゆがみも考えられますので、ご自身で準備された方がいいです。

日本と違うことは、オークランドでの出産の場合、出産後2、3時間後には、すぐにほかの施設(バースケアなど)へ母子ともに移動しないといけないことです。そのため、赤ちゃん用のカーシートは必須です。そして、その時に着せる赤ちゃんの服も忘れずにお持ちください。

産後、基本的に母子の体調をみて2、3日ほどで退院です。日本のように1週間入院ということは、ありません。

そのため、その都度お部屋に来てくれる助産師の方が母子の様子を見に来てくれて、質問などに答えてくれますが、日本のように丁寧に赤ちゃんの扱い方を教えてくれません。

ニュージーランドでの産後指導については、産前のマザークラスで説明されるので、英語ですが、ぜひ参加することをおススメします。

また、もう一つ気を付けて欲しいことは、こちらの方は、産後すぐに外出することも多いのですが、やはり私は、産後は休息が一番ですので、せめて3週間、1か月は必要のない外出は控えた方が良いと思います。

私たち助産師も、時期は決まっていませんが、日本から現役助産師を招いて「お産教室」をさせていただいています。日本人対象で詳しく新生児とはどういうものなのか?などをお話しています。

たとえば新生児の平熱や、日本の沐浴指導、ミルクの飲ませ方、おっぱいの指導などを案内し、お産前のママさんたちの情報交換やお友達づくりにもなっています。

アドバイスとしては、産後のおっぱいの指導もよくさせていただいています。母乳が出なかったり、乳腺が詰まったりとありますので、高カロリーの食べ物は控えた方がいいでしょう。

いよいよ次回は最終話です。最終話は、ルミさんの今後の活動や妊婦さんに伝えたい事などのお話になります。どうぞお楽しみに!

(第4話、最終回に続く)

私は7年前にルミさんが主催する「お産教室」に参加させていただきました。この「お産教室」のおかげで、日本語での説明は私にとってかなり救われました。これからもぜひ、この「お産教室」は続けていってほしいと思っています。

インタビューをしている中で、ルミさんが「“出産”という人生の大イベントにおいて、少しでもお役に立てることは、私にとって何事にも代えがたい喜びなの!」と話されていたことがとても印象的でした。本当に、出産の瞬間が自分の喜びでもあり、生まれてきた赤ちゃんのことが大好きなんだなぁ、と感じました。

現在も、4人出産の立ち合いの予約が入っているというルミさん。時間無制限で、出産立ち合いをしてくれるそうです。これらなら、とても安心して出産に望めますね!

聞き手/Takako(こどもニュージーランド)