こどもニュージーランド 親子留学プログラム

めぐみ先生インタビュー【第1話/めぐみ先生の生い立ち・ニュージーランドへ来たきっかけ】

「こどもニュージーランド」インタビューの第3回は、今年開講した音楽教室「KANADE Japanese Choir Auckland」を主催されている松林恵さんの記事です。

プロのホルン奏者として、音楽指導者として、そして経営者としてのお話を聞かせていただきました。

めぐみ先生インタビュー 第1話 hd

めぐみ先生の生い立ちを教えてください。

私は3歳頃からピアノを習い始めました。最初は、歌を唄うことや、ピアノを弾くことがとても楽しかったのですが、7、8歳頃になると、練習嫌いが始まって、 小学4年生でピアノという習い事から離れてしまいましたが、趣味で好きな曲を弾いたり、耳で覚えた曲を楽譜に書きおこしたり、と音楽とは常に一緒に過ごし てきました。

中学一年生で吹奏楽部に入部し、フレンチホルンという楽器に出会ってからその魅力にのめりこみ、寝ても覚めてもホルンの練習。学校の部活動だけでは物足らず地元の市民吹奏楽団に入団し、演奏する機会があれば楽器を持ってどこにでも吹きにいきました。この頃か ら、ホルンという楽器は自分の一部、それ以上の存在となり、「もっともっと上手くなりたい!プロの演奏家になりたい!」という夢がうまれ、高校卒業後の進路には迷うことなく音楽大学への受験という道を選びました。

音楽大学では、同じ目標や志を持った仲間たちと、毎日切磋琢磨する日々。ありがたいことに、在学中には、奨学生としてベルリン芸術大学への短期留学という機会にも恵まれ、国内外の素晴らしい先生方のもとで、日々練習と本番に明け暮れて、音楽に没頭する毎日を送りました。また、中高生の楽器指導のお仕事もこの頃からたくさんいただいていましたので、小さなプレイヤー達を一生懸命育てることにも情熱を注いでいました。

卒業後は、横浜市消防音楽隊に入隊し、ホルン演奏とマーチングドリル演技に従事、セレモニーやパレードなど年間360回ほど(当時)の本番をこなしました。これまで生きてきた世界・・・コンサートホールでのクラシック音楽 の演奏会ではなく、野外で、国賓の前で、またプロ野球の開幕戦で、など、たくさんの市民の皆さんの笑顔に直に出会う貴重な経験をすることができました。

退職後は、関東の中高生の吹奏楽、オーケストラ指導に再び邁進し、フリーランスでの活動を始めましたが、欲張りな私は「若いときに色々な経験をしたい」と考えて、積極的に音楽以外の仕事へも挑戦しました。貿易事務を経て、企業広報を経験したことで、音楽しかなかった私の世界が大きく開けていったのを感じました。海外へ目が向いたのも、この日々があったからかもしれません。

めぐみ先生インタビュー 第1話 2

ニュージーランドへ来られたきっかけは何ですか?

企業広報の仕事に携わっていた頃、同じ部署で働いていた親友が、末期ガンだということがわかりました。彼女から「人生は一度しかないから、めぐは悔いのないように生きて。」と言ってもらったことが、「いつかもっと広い世界を見たい!」と思っていた私の背中を押してくれたように思います。

仕事が忙しい、を言い訳にしてしばらくホルンを吹いていなかったのですが、ワーキングホリデーをすることを決めたとき、もう一度楽器と自分、そして音楽に対して真正面から向き合ってみよう、と決心し、大きな荷物と、ホルンを背負って2009年末にニュージーランドにやってきました。当時、ホームステイしていた家のランパスや、公園でポツンとホルンを吹いていたのですが、そのうち、誰かと一緒に吹きたいな、と思うようになり、オークランド市内のコミュニティーオーケストラや、吹奏楽団に入りました。最初はニュージーランド初心者の日本人女の子がいきなり入ってきてどんな目で見られるのかと不安でしたが、地元の人たちは皆とても優しく、興味をもって私に接してくれました。たくさんのローカルのお友達ができ、さらに「一緒に演奏する、音楽をする」ということがどんなに私にとって幸せで楽しいことであるかを思い出させてくれました。そのうち、「上手な日本人のホルン吹きがいるよ」という噂がどこからか回ったのだそうで、プロオーケストラからの仕事の依頼の話が舞い込んでくるようになりました。

振り返ってみると、日本にいた頃の自分は「ホルンを吹く楽しさ」を忘れ、いつしか「ホルンを吹かなければいけない」「ホルンを吹いていなければ、自分ではない」と感じていたことに気がつきました。プロのオーケストラプレイヤーになりたいと思っていたはずなのに、競争社会での挫折、理想と現実との違いに葛藤し、いつしかその夢から目をそらし、音楽から遠 ざかろうとしていたのだと。一度諦めた「プロオーケストラ奏者への夢」を、まさかこの国でもう一度見させてもらえるとは思っていなかったので、この奇跡と も思えるチャンスに驚いたと同時に、震えるほどの嬉しさを感じたことを覚えています。

オーケストラだけでなく、金管十重奏、弦楽7重奏などの室内楽、オペラ、ミュージカルなど、多くの仕事をいただき、ニュージーランド各地を飛び回るようになりました。充実した日々を過ごすうちに、「ここでなら、音楽と一緒に生きていけるのかもしれない」と思うようになり、ワーキングホリデーで1年だけの滞在のはずが、いつしか結婚して永住への道を歩むこととなりました。

(第2話へつづく)

めぐみ先生インタビュー 第1話 1

子供に楽器を何か習わせたいな、と思われている親御さまも多いのではないでしょうか。私もその中の一人でした。
音感教育は小さいうちからする方がいいよ!と良く言われています。だけど、ピアノがいいのか?バイオリンがいいのか?ギター?それとも他のもの?

でもなぜ、音楽は子どもにとっていいのか?具体的な理由が分からず、「この子は音痴だから難しいかなぁ・・・」と思っていました。

今回のインタビューでは、めぐみ先生の専門的知識や経験から、そのなぞが解けました!
とっても興味深く、私の全く知らなかった小さな音楽の世界をぐんと広げてもらったような感じがしました。

第2話は「ニュージーランドと日本の音楽の違い/音楽の魅力」という内容です。
引き続きどうぞお楽しみに!

聞き手/Takako(こどもニュージーランド)